いくつかある光の

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第一回ふげん社写真賞グランプリ受賞作品
木原千裕写真集『いくつかある光の』

★雑誌『写真』(Sha Shin Magazine vol.1)で紹介

弊社の創立70周年記念事業として2020年に創設された「ふげん社写真賞」(選考員 飯沢耕太郎、町口覚、渡辺薫)の第一回グランプリは、応募者数172名の中から福岡県出身の木原千裕が選ばれ、写真集が刊行される運びとなりました。

本作は、たった四度だけ会った東北の海沿いの街に暮らす人を被写体にしたシリーズです。木原は、2017年冬から2019年春にかけて、自身が住まう福岡からその人が生活する石巻へ計4回、撮影のために赴きました。赤の他人でもなく、友達とも言えない曖昧な関係で撮影された写真は、二人の生活圏をつなぐ飛行機や空港などの風景から始まり、その小さな街にそびえる煙突、季節によって表情を変える小高い山、いちご農場を舞台に、被写体の表情が瑞々しく切り取られています。

家族や恋人、友達という特別な関係ではない他者をテーマにした本作は、人生における無数の出会いと別れの連続の中で、一瞬自身と交わった存在を肯定し、あるがままを受け入れることができるのか、という試みでもあります。

収録点数は、写真賞応募時の83点から120点に増え、構成も大きく変更、写真集タイトルは応募時の「Path of Lights」から「いくつかある光の」に変わりました。
造本は、選考員の一人でもある町口覚さんが手がけています。
写真集には珍しい上質紙を使用した軽やかな造本も必見です。

“パンデミックが世界の分断を加速させていくのを肌で感じながら、一人一人がどこかで生きる誰かの人生を想像することで、豊かな世界になるのではないか。何者でもない他者を撮影することは、未来の希望へと繋がる営みなのだ。”
(帯文より)

“「冬がいいですよ」
その人の声に従いこの地を訪れて今日で4度目となる。
家族でもない友人でもないまるで知らないその人は
東北のこの街に暮らしている。”
(作家テキストより)
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