【POD】朽廓、洛南橋本。

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前著『竹栖譚 洛南橋本遊廓写真・小説集』の全写真と随筆頁を独立させた、いわば「永久保存版」写真集である。 前著収録の写真79点に、未発表分40点を追加し、全119点にわたって原画ポジ(リバーサル)フィルムに可能なかぎり近づけるべく高解像度デジタルデータ化したうえで、色彩調整とシャープネス化をはかった。それにより30余年前の、今日ではその多くが失われてしまった、かつての由緒ある遊里跡が鮮明な、哀愁をおびた佇まいとなって生なましく甦ったのである。 近年、おもに女性のあいだで静かな流行の兆しをみせる遊廓ファン、廃墟マニアのみならず、近代建築史などの研究者にとって、必携の一冊といえよう。【『竹栖譚』解説再録】淀川の対岸に、大山崎の天王山を望む洛南の景勝地、京都府八幡市橋本。かつては男山の石清水八幡宮の 参詣道の町として、また京街道沿いの古くからの色町として栄えた橋本遊廓があった。近年まで、近世からの遊里の佇まいを色濃く残しながら、近代西洋建築様式の娼館も建ちならぶ「紅灯の巷」をほうふつさせてくれていた。…… 朽ちくさった格子窓や紅殻(べんがら)の塗壁の廓の家並、かとおもえば華やかな彩りのステンドガラスの飾窓が異国情緒を誘う西洋館を模した鉄筋の建物……が、そうした風情のある町並も、今日では多くが廃屋化して取り壊されたり、新しく建てかえられたりして、つぎつぎと櫛の歯が抜けるがごとく失われてしまった。 本書は、そうした貴重な文化財といっても過言ではない、古い廓の家並と町の佇まいを克明に活写した写真集と、発明王エジソンが電球のフィラメントに使った竹の名産地としても知られる男山周辺を舞台にした、一種幻想の味わいのある小説集によって成りたつ。