鳩と烏と

鳩と烏と
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著者は元プロボクサーという経歴の持ち主。
2008年にボクサー生活にピリオドを打ち、
心機一転カメラを手にして、コロナ禍の宇都宮の街中を徘徊しながら撮影しました。
その生々しい記録がこの衝撃的なデビュー作になりました。
鳩とカラスばかりが目立つような、ありふれた地方都市のオモテの顔を剥ぎ取ると、
日常の裏側に潜む、なんとも不穏で怪しいもう一つの顔が見えてきました。
鳩、カラス、小公園、墓地、女性たち、お地蔵さん、古ぼけた団地、
警察官、さまざまな花、蝉の亡骸、豚、路上の影、猫、夕闇の中のお堂、
倒れた自転車、銅像、蜘蛛の巣、おみくじ、教会。
日本のどんな街でも目にする物が写された写真を見ていると、
それが現実の街ではなく夢で見ている謎めいた街に思えてきます。
ときどき写真の合間に挟まれた感情を抑制したエッセイが心に残ります。